日本各地で花見まっ盛りとなるこの時期は、ヨーロッパをはじめキリスト教の伝統がある国では、イースターと重なる。そして信心深いかどうかはさておき、多くの国でイースターの時期は休日となる。
今回取材させていただいたポーランドでは、春祭りの様相で、花が咲くこの美しい時期のお祝いとして、華やかな飾り付けをし、旬の伝統のごちそうを家族みんなで食べ、春の到来を感じる習慣が残っていたりするようだ。
以前ポーランドのイースターの伝統についてご紹介したが、(伝統の根底は家族の食卓:ポーランドのイースター)今回はさらに普段着のポーランドのお食事をご覧ください。
ポーランドの料理といえば、伝統を守り、手作りでもてなすことが今でも大切にされているそう。このイチゴのコンポートは、まさにおばあちゃんの味なのだそう。ちなみに記者の群馬の実家には大きなあんずの木があり、季節になると母がまさにこんな風に煮てくれたものをよく食べたので、(当時、実家ではコンポートというヨーロピアンな言葉は誰も知らなかったが)気持ちがわかる気がする。ちなみにポーランドではあくまで飲み物、というコンセプトのよう。
そしてこのイースターの時期のスープ、ジュレック(Żurek)。軽くクリーミーで、くせのないやさしい酸味があり、玉ねぎの甘みがほんのりと味を下支えしている。ソーセージとゆで卵の具が入っているので、これにおいしいパンでも添えれば、軽い食事になりそう。
ピエロギ(Pierogi)はまさに水ギョウザのよう。このピエロギにはチーズとポテトをあわせた具が入っていたが、具は肉やキノコなどのときもあるそうだ。ポーランドの人は、ギョウザを手作りしてもてなす。
記者はカッテージチーズには普段あまり馴染みがなく、どうやって使ったらいいか知らなかったが、このように歯ごたえがあり色の見栄えのするラディッシュなどを刻んで和えて、塩こしょうで食べるとさわやかさが加わって美味しい。チーズは良質のプロテインがとれるし、簡単そうなので、是非まねをしたい一品。ちなみにポーランドではカッテージチーズの種類が色々あり、パンとカッテージチーズを一緒にいただくことがとても多いそう。
そして食後のスイーツ。とくにこの中での個人的なヒットは、この一見こってりしたクレムフカ(Kremówka)というケーキ。白いクリームは実はカスタードで、ホイップクリームが合わせてあるそう。くどくなく、下のミルフィーユ生地といいコントラストのある食感で、バランスがよく、絶妙においしい。
しめは穀物コーヒー(Kawa Zbożowa)。見た目、香り、味ともにコーヒーのようだが、実はコーヒーではない。深いローストされた味わいで、苦くなく、麦茶のような風味も感じる。ノンカフェイン。ポーランドではカフェインの入ったコーヒーは大人のもの、という認識があり、大人のまねをしたがってコーヒーをせがむ子供たちに「穀物コーヒーだよ」と与えたりもするそうだ。
ポーランドの人は、懐が深く、素朴で、おもてなし上手とのうわさ。地理上そして歴史上、いろいろな文化の影響を受けてきている。ホームスティでもして、その素顔をみてみたい国の一つである。
Written by: Rika Sakai